AI時代に必要なこと

こんにちは。

コロナ騒動もひと段落し、段々と普通の生活に戻りつつありますが僕は未だに引きこもり生活が続いています。

来週くらいから徐々に研究活動も再開できるかなあという感じです。

そんな僕は最近何をしているかというと、研究活動の再開の準備をしながらいろいろと本を読んでいます。

そんな中、とても興味深く、ぜひ紹介したい本があったので紹介します。

 

それは、2018年に発売された「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」です。

 

この本の著者である新井紀子さんは一昔前に話題になった、東京大学合格に挑戦するAIロボット「東ロボくん」プロジェクトに携わった方で、このプロジェクトに携わる中で見えた、来るAI時代で私たち人間が生き残る術をこの本で論じています。

 

もう最近やたらAI、AIと聞きますが、皆さんはAIというと、どんなイメージをお持ちでしょうか?

私たちの生活に馴染みつつある、私たちの生活を便利にしてくれるSiriみたいなスマートスピーカーを想像する人もいれば、ちょっと前に話題になった将棋ロボットみたいな人間の頭脳を超越してしまう可能性を秘めたものを想像する人もいると思います。

はたまた映画マトリックスに出てくるような私たち人間を支配してしまうような恐ろしい存在であると思ってる人もいるかもしれません。

 

僕もこの本を読むまではAIについて漠然とした知識しかもってなくて、今はSiriみたいな生活の手助けのようなことしかできないけど、統計学を駆使したディープラーニングによってどんどん賢くなって、いずれは意思を持って人間とコミュニケーションを取ることも可能になるんじゃないかなーというかんじでした。

 

しかし、この本を読んでみるとどうやらAIというのは今の技術の延長線上では人間のように意思を持って動いたり論理的に考えて自ら行動を起こすことはできないようなんですね。

AIというのはあくまでコンピューターで、コンピューターというのはあくまで計算しかできないものだから、というのが著者の持論(まあかなりざっくりですが。)です。

 

そう考えるとやたら「現在人間がやっている仕事は将来AIによってどんどん代替されるため、失業者が街にあふれる」と主張する人がいますが

この主張は半分あっていて半分は間違っているようなんです。

たしかに事務作業などの単純作業は今後AIにどんどん代替されていくことが予想されますが、教育や介護やサービス業など、コミュニケーション力が必要とされるような職業に関しては今後も人間が有利なようです。

あくまで現在のAI技術の延長線上では、もし今後AI技術に大きなブレークスルーが起こらなければの話になりますが。

 

だから今後、AI時代を生き抜くためには、自分で考えて何かを生み出したりする論理的思考力や創造力、またはコミュニケーション力などがどんどん求められるようです。

AI時代に漠然とした不安を抱えていた人にとっては明るい未来が少し見えたのではないでしょうか。

 

しかし、現在の子どもたちは将来、AI時代を生き抜くための力を学校で身につけているかというと、どうやらそうではないようなのです。

 

著者たちは先ほども触れた東ロボくんプロジェクトの過程で東ロボくんに基礎的な読解力をつけさせるために東ロボくんに学習をさせていたのですが、その教材を応用して、中高生の基礎的な読解力を調べるためのテストを作成しました。さらに著者らは全国の中高生の読解力を調べるためにそれを用いてテストを行いました。

その結果、驚くべきことに多くの中高生はAI以下の読解力、すなわち論理的な思考力をAI同様に持ち合わせていないことがわかりました。

この本の中に何題か例題が掲載されているのですが、正直こんな簡単な問題がわからないのか・・・と僕もショックを受けました。

 

そのため、将来AIが普及するようになると、事務作業などの簡単な仕事はAIのほうが効率的だし人件費もかからないため、どんどんAIに代替されるようになります。そこで人間たちはどんどん生産的なクリエイティブな仕事に回されるようになるのですが、AI以下の読解力しか持ち合わせていない人たちはそのような高度な職に就くことができません。

その結果、企業は人手不足に悩まされるものの、街には失業者があふれかえる事態が起こるのではないかと著者は危惧しています。

 

というのがざっくりとですがこの本の内容です。前半はAIに関する正しい知識が得られ、後半はだいぶショッキングな内容でした。2018年と少し古い内容ですがぜひ多くの人に読んでほしいです。

 

僕も将来についてとても考えさせられました。

僕が思うに、何をするにしても言われたことをやるんじゃなくて、自発的に考えて動く癖をつけることがこれからは大事なのかなあと思いました。ありきたりな感想ですが。